水は無味無臭に感じるかもしれませんが、土地や含まれている成分によって実は口当たりなどが違います。その大きな要素となるひとつが水の硬度です。
硬度は水に含まれているミネラル分、カルシウムやマグネシウムといったものを炭酸カルシウムに換算してどのくらいの量になるか数値で表したものです。表記方法は国によって多少変化し、一般的に日本では軟質がヨーロッパでは硬質が多い傾向にあります。この硬度の数値によって水は軟質と硬質に分類することができます。
特徴としては軟質のものは口当たりが良くまろやかで飲みやすくなっています。特に高齢者や赤ちゃんなど内臓が弱い傾向にある人には身体に負担が少なく吸収浸透してくれます。また香りやうまみを引き出しやすいので、紅茶やコーヒーなどの飲み物や出汁を取るのにも向いています。
硬質はミネラルが豊富に含まれているので、汗をかいた後のカルシウムなどの補給やカロリー制限時のダイエット、便秘の解消などに効果が期待できますが、軟質の反対で胃腸に負担がかかるので飲み過ぎるとお腹を壊しやすい特徴があります。
特徴を知っていると料理のさいに適した水を使い分けることができます。基本的な考え方としては、日本食には軟質を、洋食には硬質を、と覚えておくとわかりやすいです。
例えば、昆布だしを取る場合、軟質の物を使うと良くうまみを抽出することができます。一方で硬質の物を使った場合は、カルシウムが昆布に付着してしまってうまくうまみが出ないばかりか、カルシウムが昆布の成分と合わさることによって灰汁が出やすくなってしまい、だしが濁ったりします。
逆に牛などの動物性の料理で利用するときは、軟質だと灰汁がなかなか出てこないので、スープが濁ったりします。硬質のものは、血や肉の臭みを灰汁として良く出してくれる効果があるので、うまみのある透き通ったスープを作ることができます。
このように料理によって水を使い分けるとさらに料理がおいしくなります。参考にしてみて下さい。